令和5年の産業殉職者合祀慰霊式は、10月25日(水)午後1時から東京都八王子市の高尾みころも霊堂(産業殉職者霊堂)において、独立行政法人労働者健康安全機構の主催により執り行われました。
今年は、感染症5類移行もありコロナ禍以前並みの規模等での開催となり、約500名が参列されました。
式典には、産業殉職者ご遺族をはじめ厚生労働大臣(代理)、労働団体・経済団体や労働災害防止団体代表並びに地元八王子市代表などの方々がご参列の下、黙とう、慰霊の詩朗読の後参列者による献花が行われ、厳粛な雰囲気の中で御霊を慰霊申し上げました。また、ご公務により欠席された岸田文雄総理大臣の慰霊の言葉が代読にて披露されました。
慰霊式では、前年の産業災害により殉職された方など2,389名の御霊が新たに合祀され、合わせて273,423名の御霊が霊堂に奉安され、安らかな眠りにつかれています。
なお、参列できないご遺族等に配慮し、動画配信サービス「ユーチューブ」により、式典のインターネット生配信も昨年同様に行われました。
■合祀慰霊式の動画、写真が労働者健康安全機構ホームページでも掲載されています。
■式辞
本日、ここ高尾みころも霊堂に、全国各地から産業殉職者のご遺族の方々をお招きし、また、行政機関、労働団体、経済団体、各界代表の方々のご参列をいただき、令和五年産業殉職者合祀慰霊式を挙行いたします。
私どもは、労働災害により亡くなられた方々の御霊(みたま)を奉安するため、昭和四十七年に本霊堂を建立し、毎年、秋に慰霊式を行い、御霊(みたま)をお慰めして参りました。
労働災害は、長年にわたる労使及び行政機関並びに災害防止団体の方々の積極的なご努力により減少してきておりますが、今なお、重大な災害や職業性疾病の発生は絶えることはなく、数多くの尊い生命(いのち)が失われています。
本日、新たな悲しみと尊崇の念をもって、二千三百八十九名の方々をこの霊堂にお迎えしなければなりません。この高尾みころも霊堂に、新たな御霊(みたま)をお迎えすることにより、二十七万三千四百二十三名の方々が奉安されることになります。
慰霊式を執り行うに当たり、産業殉職者の御霊(みたま)が霊堂の奥深く安らかな眠りにつかれますことをお祈り申し上げますとともに、今後とも、働く方々の生命(いのち)と健康が十分に守られ我が国が引き続き発展できますよう、切に願うものであります。
結びに当たり、ご遺族の方々のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げ、併せてご参列くださいました関係各位に深甚なる謝意を表し、式辞といたします。
令和五年十月二十五日
独立行政法人労働者健康安全機構
理事長 有賀 徹
■慰霊の言葉
秋深まりゆく高尾山の麓、この清閑な「高尾みころも霊堂」において、御遺族並びに各界代表からの御参列をいただき、五十二回目の産業殉職者合祀慰霊式が執り行われるに当たり、謹んで慰霊の言葉を捧げます。
不幸にして労働災害によって殉職された方々は、在りし日において職業人としての誇りを胸に、それぞれの職場で大いに御活躍され、我が国の社会経済の発展と国民生活の向上に多大なる貢献をされました。有為な前途を残しながら、不慮の災害や事故、病気によって尊い生命を失われた方々の無念と、最愛の方を失われた御遺族の深い悲しみを思うと、言葉になりません。ここに改めて、衷心より哀悼の意を捧げます。
働く方一人ひとりがより良い将来を望める社会にするべく働き方改革を推進している中にあって、生命が脅かされたり、健康が損なわれたりするようなことは、あってはなりません。こうした悲しみを繰り返すことのないよう、労働災害の根絶に向けた取組を改めてお誓いいたします。
結びに、この霊堂に祀られる御霊が永遠に安らかでおられますとともに、御遺族の皆様の御多幸を心よりお祈りし、慰霊の言葉といたします。
令和五年十月二十五日
内閣総理大臣 岸田 文雄