事業報告書(令和7年度)

【事業概要】
 令和7年度の事業運営については、春の慰霊祭、夏まつりなど恒例行事を従来どおり滞りなく開催することができた。産業殉職者合祀慰霊式についても、例年同様後援団体として式典運営に支援・協力した。
 次に、労働災害殉職者のご遺族からのご意見等も踏まえ令和5年から開催している「ご遺族懇談会」について、合祀慰霊式に合わせる形で第4回目を開催した。これにより孤立しがちなご遺族がその経験を語り合いながら相互に交流することにより絆を深めていただいた。参加ご遺族からも好評を博すとともに、奉賛会としてもご遺族のお気持ちに接し、貴重なご意見をいただくなど、改めて労働災害防止取組の重要性等を認識する有意義なものとなった。
 財政面では、奉賛会の厳しい財政状況を踏まえて、労働災害殉職者の多くを占める建設業界の代表である一般社団法人日本建設業連合会(日建連)及び全国建設業協会(全建)に継続して財政支援要望を行い、会費収入の増加を図ることができた。また、令和8年1月と3月には、住宅総合メ―カーの大和ハウス工業(株)並びに総合事務機器・IT企業の大塚商会(株)に特別法人会員として新規入会していただいた。
 個人会員についても、令和7年9月にご逝去された労働災害殉職者ご遺族の会員であった方から、遺贈という形で約2,500万円の高額寄付金のご連絡を遺言執行者である弁護士よりいただいた。篤志に深く感謝申し上げるとともに、令和8年度早々に受け入れることとし、令和6年度の高額遺贈と同様に、公益目的事業のための積立資金に計上の上、慰霊敬仰や遺族支援等の諸事業に大切に使用させていただくこととした。
 これらの事業運営により、全体の収支状況は昨今の急激な諸物価高騰により一層厳しい状況が見込まれたが、概ね計画に近い形で収まる結果となった。

【主要事業】

I.慰霊敬仰など奉賛活動の推進

  1. 慰霊敬仰事業
    (1)春の慰霊祭と夏まつり
     春の慰霊祭(第51回)を5月10日(土)、夏まつり(第52回)を8月2日(土)に実施した。
     春の慰霊祭は、祭祀堂広場において霊位の遷座行列、筝曲奉納、お供茶奉納、ご遺族の献花など、従来通りの形式により御霊を慰霊した。夏まつりについても、一般市民を含めコロナ禍前並みの大勢の参加をいただき、大変好評を博した。
    (2)永代供養慰霊式の開催
     春秋のお彼岸に行う永代供養慰霊式は、従前どおり霊堂9階において第17回を9月、第18回を3月に、奉賛会役職員のほか、労働者健康安全機構等の協力を得て慰霊の言葉奉上、供花及び献花等を捧げ、御霊を厳かに慰霊した。
    (3)産業殉職者合祀慰霊式(第54回)への協力(主催:労働者健康安全機構)
     令和7年合祀慰霊式は、10月22日(水)、ご遺族、厚生労働大臣(代理 厚生労働審議官)、労働団体・経済団体代表及び労働災害防止団体等多数の関係者が参列し執り行われ、新たに2,437名の御霊が霊堂に合祀奉安された。今年は、初めて遺族総代表による「追悼の辞」が奉読され、多くの感動の声と反響があった。参列できなかったご遺族等のためインターネットによるライブ配信も行われた。
     奉賛会は、式典での霊位奉安を始め、後援団体として慰霊式典運営に支援・協力を行った。
  2. 環境整備事業
    (1)花壇等への植栽
     霊苑内の花壇等に、年数回適時、四季折々の花を植栽するなど、環境美化に努めた。
    (2)霊苑内の環境美化
     天皇皇后両陛下行幸啓記念植樹等による記念樹を見守り、「故郷の森」を含めて適切に維持・管理を行うなど、環境の美化に努めた。
    (3)祭壇などへの供花
     祭壇などに生花を絶やさないよう随時供花を行った。

II.産業殉職者遺家族をはじめとする会員等に対する相談支援活動の強化

  1. 相談支援事業
    (1)相談事業
     祭祀等に関する相談を、随時、当会職員が直接又は電話相談等により行った。また、合祀慰霊式においては、遺族相談窓口を設けて相談対応を行った。
    (2)会員サービス事業
     会員証の利用による宿泊割引制度の実施、無料給茶機の運営及び「霊堂四季の写真」の無料提供等を行った。
    (3)代理参拝支援事業
     会員の高齢化、遠隔地在住の会員のため、代理参拝(納骨壇の清掃、供花、参拝)支援を行った(供花料のみ実費)。
  2. 交流事業
    (1)「ご遺族懇談会」の開催
     労働災害殉職者のご遺族が孤立しがちな実情を踏まえ、その経験を共有し交流できる場をご提供するため、産業殉職者合祀慰霊式前日の10月21日、霊堂近隣のホテルを会場として、第4回目となる「ご遺族懇談会」を開催した。
     当日は、本年合祀慰霊式のご遺族代表を始め合計で3家族4名のご遺族に参加いただき、それぞれのご経験などを自由に語り合いながら、交流を深めていただいた。奉賛会では、ご遺族の皆様のお気持ちに接することができ、貴重なご意見等をいただくとともに、労働災害防止取組の重要性を再認識する大変有意義なものとなった。さらに、懇談会は大手新聞社、建設業界専門紙の取材等により報道されるなど、社会的にも注目を集めた。参加者のご意見等も踏まえ、今後も継続して開催することとした。
    (2)行事、会報等を通じた交流推進
     「春の慰霊祭」、「夏まつり」及び「奉賛会会報」誌上等を通じて、会員の交流を進めた。
    (3)「霊堂写真集」、「参拝交流ノート」の展示・供覧
     「霊堂写真集」及び「参拝交流ノート」の展示・供覧を実施し、参拝される遺族や会員のさらなる交流促進並びに安らぎと癒しの場の提供に努めた。
III.奉賛会の活動の充実強化
  1. 奉賛会活動の基盤の整備
    (1)産業界に対する財政支援要請活動による新規法人会員の拡大
     奉賛会の厳しい財政状況を踏まえて、これまで支援実績のある一般社団法人日本建設業連合会(日建連)及び全国建設業協会(全建)に対して、未加入の会員企業、会員団体の新規加入要請を行った。また、大和ハウス工業株式会社、大塚商会(株)に係る令和8年1月と3月の新規法人会員加入については、前述「事業概要」記載のとおりである。以上のとおり、広く産業界への更なる支援要請活動に取り組んだ。
    (2)新規個人会員等の加入促進活動等
     新規合祀奉安者の遺族を始め、納骨壇利用契約者など関係者に対する加入要請を積極的に行った。また、令和7年にご逝去された労働災害殉職者ご遺族の会員であった方からの遺贈による約2,500万円の高額寄付申込については、前述「事業概要」記載のとおりである。
    (3)地域社会、関係団体との連携の強化
     春の慰霊祭、夏まつりを始め奉賛会の活動を通して、地域団体等の積極的な参加と協力の強化・推進に努めた。
  2. 広報・普及啓発活動の強化
    (1)マスコミ取材の積極的受け入れによる報道・広報
     前述Ⅱの2.交流事業のとおり、「ご遺族懇談会」について、参加者のご了解を得た上で積極的に大手新聞社等の取材を受けるとともに、建設業界専門紙等で大きく報道していただくなど、社会一般に対して労働災害ご遺族の実情や霊堂の設立意義などについて広報・周知する活動に努めた。
    (2)広報媒体等を利用した広報活動の強化
     奉賛会ホームページの随時更新、「奉賛会会報 第59号」(12月に約7,000部)の発行及び「奉賛会ニュース」(6月)の会員等への送付などにより、タイムリーな情報提供等による広報・普及啓発活動の強化にも努めた。
     なお、例年同様、合祀慰霊式当日に遺族総代表(本年は岡山県代表)へのインタビューを行い、ご遺族としての思いなどを「奉賛会会報 第59号」に特集記事として、遺族総代表の「追悼の辞」とともに掲載した。
    (3)各種事業を通じた産業殉職者慰霊顕彰の重要性の普及啓発
     企業及び関係団体に対して、霊堂の利用並びに見学等について働きかけた。
     令和7年12月に神奈川県相模原市の市民団体「あさがお体操」(12名)、「鉄建建設㈱」(5名)、「日本通運(株)」(7名)、令和8年1月に「労働新聞社」(4名)、令和8年3月に神奈川県相模原市の市民団体「きずなサロン」(26名)にそれぞれ参拝・見学をしていただき、みころも霊堂、奉賛会の設立意義や労働災害防止取組みの重要性等について認識を深めていただいた。
     次に、9月10日から12日にかけて、中央労働災害防止協会が主催する国内最大規模の企業展示会である「緑十字展」(大阪市)に、昨年に続き労働者健康安全機構と共同出展し、霊堂や奉賛会の周知・広報等に努めた。なお、緑十字展出展ブースを訪問された一般会社員の方に、終了後、奉賛会個人会員に新規入会していただいた。
  3. 産業災害の防止及び産業殉職者の顕彰に向けた機運の醸成
    (1)第13回産業殉職者霊堂協力連絡会議の開催
     労働災害防止団体、安全衛生団体等との第13回協力連絡会議を9月5日、KKRホテル東京にて開催し、各団体の労働災害等の事例紹介、傘下企業等の高尾みころも霊堂見学・利用奨励及び各団体における奉賛会の紹介等を含めて意見交換等を行った。
    (2)講演事業等
     産業殉職者慰霊の重要性、災害防止対策等の大切さ等についての講演事業等の募集並びに呼掛けを広く行った。

Ⅳ.奉賛会運営体制の整備充実

 奉賛会の公益財団法人としての内部統制及び運営体制の整備充実のために、理事会等開催、監事監査、法令改正対応、会計事務所等の監査などを通じて、その推進に努めた。

  1. 公益充実資金の新設、慰霊敬仰・遺族支援等事業安定化資金取扱規程の策定
     令和6年度の遺贈寄付金約1,500万円を原資として、公益充実資金を新たに導入するとともに、慰霊敬仰・遺族支援等事業安定化資金取扱規程を策定し、慰霊敬仰及び遺族支援等の事業に活用することとした。
  2. 理事会、評議員会での公益法人制度改正等の説明等実施
     理事会、評議員会において、令和7年度公益法人制度改正等の説明等を実施し、役員等の公益法人運営に必要な最新知識水準等の向上に努めた。
  3. 内閣府の「点検調査」の受検
     令和7年12月に、監督官庁である内閣府公益認定委員会事務局による「点検調査」が約8年ぶりに行われた。終了後、奉賛会の法人運営、実施事業等については、関係書類も整備され、全体として適切に業務運営されており、概ね良好との調査結果報告があった。理事会、評議員会にも報告した。

Ⅴ.奉賛会会員の状況

会員区分 令和6年度末会員数 令和7年度入退会 令和7年度末会員数
入会 退会 会員数
個人会員 3,357 37 79 3,315
 殉職会員 2,366 34 47 2,353
 一般会員 991 3 32 962
法人会員 168 3 5 166
特別法人会員 21 3 0 24
合  計 3,546 43 84 3,505