【事業概要】
令和3年度の事業運営については、前年度と同様に新型コロナウイルス感染症問題の多大な影響を受ける結果となった。度重なる緊急事態宣言に伴う高尾みころも霊堂閉鎖により、春の慰霊祭、夏まつりが中止を余儀なくされたものの、それらを合わせた形で秋彼岸永代供養慰霊式を関係者ご出席の下開催するなど、産業殉職者の御霊を慰霊敬仰するという奉賛会設置目的に沿った諸活動を、状況変化に即応しつつ遂行することができた。
緊急事態宣言による霊堂閉鎖は、ようやく秋には解除され、労働者健康安全機構の霊堂改修工事も10月の合祀慰霊式前には主要工事も終了し、11月から納骨堂は従来どおりの利用再開となった。
また、事業計画で予定した行事として、産業殉職者慰霊顕彰碑増設は、合祀慰霊式に合わせて機構の協力の下無事遂行するとともに、さらに奉賛会本部事務所移転も令和4年2月に、混乱もなく予定どおり完了することが出来た。
次に、年度当初は新型コロナ感染症と霊堂改修工事に伴う霊堂閉鎖及び納骨堂立入禁止による行事中止等のために、大幅な収入減少等も懸念された。しかし、会員減少も小幅に納まり、寄付金収入も高額寄付をいただくなど、比較的安定したものとなった。そのため、収支状況としては諸行事中止による経費減少もあり、結果的には概ね良好な収支決算となった。高尾みころも霊堂に寄せるご遺族、会員等の皆様の深い思いの表れと認識し厚いご支援に感謝する結果となった。
【主要事業】
■ I.慰霊敬仰など奉賛活動の推進
- 慰霊敬仰事業
(1)令和3年度秋彼岸永代供養慰霊式等の開催
政府の緊急事態宣言発出に伴い高尾みころも霊堂が臨時閉館となったため、春の慰霊祭及び夏まつりの開催をやむなく中止することとなった。
しかし、御霊の慰霊の大切さとご遺族のお気持ちを踏まえて、春の慰霊祭と夏まつりをも合わせた形式で「令和3年度秋彼岸(第9回)永代供養慰霊式」として、感染対策を徹底した上で9月24日(金)に高尾みころも霊堂遺族休憩所にて開催した。当日は、ご遺族、ご来賓等を含め約20名のご参列をいただき、厳粛な雰囲気の下で御霊を慰霊した。
なお、春彼岸の第10回は3月に、霊堂改修工事が完了した霊堂9階祭祀室において従来形式に戻り厳かに挙行された。
(2)産業殉職者合祀慰霊式への協力(主催:労働者健康安全機構)
産業殉職者合祀慰霊式は、10月28日(水)、都道府県遺族代表はじめ、厚生労働審議官、労働団体・経済団体代表及び労働災害防止団体等多数の関係者が出席して行われた。今年は、前年に続き新型コロナウイルス感染防止のため規模は縮小し、ご来賓は限定出席者となったが、ご遺族出席者数は前年より拡大した形で従来どおり式典が厳粛な雰囲気の中で滞りなく挙行された。
また、参列できないご遺族等に配慮し、動画配信サービス「ユーチューブ」により、式典のインターネット生中継が初めて実施された。
なお、遺族総代表の深迫祥子様ご夫妻によるコーヒードリップバッグの無償提供があったため、式典に参列した希望者に事前配布され好評を博した。
(3)慰霊顕彰碑の整備・増設等
祭祀堂横に建立した「産業殉職者慰霊顕彰碑」に、令和3年の合祀奉安者数 (2,405名)を刻むとともに周辺の環境整備を行った。
また、令和3年度事業計画の「産業殉職者慰霊顕彰碑の増設」については、予定どおり合祀慰霊式に合わせて設置の上、機構理事長等関係者による除幕式を執り行うなど予定どおり実施した。
- 環境整備事業
(1)花壇等への植栽
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に伴う霊堂の臨時閉館や霊堂改修工事により実施の時期・内容について一部変更を余儀なくされたものの、霊苑内の花壇等に、年数回適時に分けて四季折々の花を植栽するなど、環境美化に努めた。
(2)霊苑内の環境美化
「故郷の森」、記念樹等の整備、剪定及び除草など環境の美化に努めた。
(3)祭壇などへの供花
祭壇などに生花を絶やさないよう随時供花を行った。
■ II.産業殉職者遺家族をはじめとする会員等に対する相談支援活動の強化
- 相談支援事業
(1)相談事業
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に伴う霊堂の臨時閉館などにより、霊堂業務休止期間が発生したが、閉鎖期間の奉賛会本部は一部業務時間短縮はあったものの、事務所閉鎖をすることなく業務を継続した。
これらにより、相談事業に大きな支障を生ずることなく、従来同様に祭祀等に関する相談を、当会職員が直接又は電話相談等により行った。
また、合祀慰霊式においては、遺族相談窓口を設けて相談を行った。
なお、以下に記載する会員サービス事業、代理参拝支援事業を始めとする各種事業についても、全体としては大きな混乱もなく業務を遂行することができた。
(2)会員サービス事業
会員証の利用による宿泊割引制度の実施、無料給茶機の運営及び「霊堂四季の写真」の無料提供等を行った。
(3)代理参拝支援事業
会員の高齢化、遠隔地在住の会員のため、代理参拝(納骨壇の清掃、供花、参拝)支援を行った(供花料のみ実費)。
- 交流事業
(1)行事、会報等を通じた交流推進
「令和3年度秋彼岸永代供養慰霊式」の開催及び「奉賛会会報」誌上等を通じて会員の交流を進めた。
(2)「霊堂写真集」、「参拝交流ノート」の展示・供覧
「霊堂写真集」及び「参拝交流ノート」の展示・供覧を配置して、参拝される遺族や会員のさらなる交流促進並びに安らぎと癒しの場の提供に努めた。
■ III.奉賛会の活動の充実強化
- 奉賛会活動の基盤の整備
(1)新規会員の加入促進活動
新規合祀奉安者の遺族を始め、納骨壇利用契約者、また、労働災害防止関係団体に対する加入要請を積極的に行った。
(2)地域社会、関係団体との連携の強化
春の慰霊祭、夏まつりに代わる「令和3年度秋彼岸永代供養慰霊式」の実施を始め奉賛会の活動に関し、地域団体等の積極的な参加と協力の強化・推進に努めた。
(3)奉賛会本部事務所の移転
奉賛会が賃借していた労働者健康安全機構健康保険組合の移転に伴う本部事務所移転については、所要の手続き等を適切に進めた上で、令和4年2月に新本部事務所に混乱もなく予定どおり移転を完了することができた。
- 広報・普及啓発活動の強化
(1)広報媒体等を利用した広報活動の強化
奉賛会ホームページの更新等により、奉賛会の活動などについて広報活動を行った。また、「奉賛会会報第55号」(12月に7,000部)を情報内容の充実(会員ページの拡大など)を図って発行した。
さらに、「奉賛会ニュース」を発行し6月の会費納入通知と併せて会員等に送付して、タイムリーな情報提供等による広報・普及啓発活動の強化に努めた。
(2)各種事業を通じた産業殉職者慰霊顕彰の重要性の普及啓発
産業界の安全祈願祭、殉職者慰霊式の開催など、高尾みころも霊堂の利用について関係団体に働きかけた。
なお、当奉賛会関係団体等の積極的なご協力もあり、令和4年1月と3月に厚生労働省安全衛生部及び東京労働局のそれぞれ関係職員による高尾みころも霊堂への職員研修を兼ねた見学を初めて実施することができた。見学結果等好評につき、今後も継続して見学実施することとなった。
(3)新規合祀遺家族に対する奉賛会活動の周知
令和3年度新規合祀奉安者の遺族に対し、「奉賛会会報第55号」や「高尾みころも霊堂写真集~慰霊とこしえに~」を送付し、合祀慰霊式の報告を行うとともに、奉賛会への加入要請を兼ねた活動紹介を行った。
- 産業災害の防止及び産業殉職者の顕彰に向けた機運の醸成
(1)第9回産業殉職者霊堂協力連絡会議の開催
労働災害防止団体、安全衛生団体等との第9回協力連絡会議を9月10日(金)学士会館にて開催し、各団体の労働災害等の事例紹介、傘下企業の高尾みころも霊堂利用奨励及び各団体の広報誌上での奉賛会の紹介等を含めて意見交換を行った。
(2)講演事業
慰霊の重要性、災害防止対策等の大切さ等についての講演事業の募集を行った。
■ 会員の状況
会員区分 |
令和2年度末会員数 |
令和3年度入退会 |
令和3年度末会員数 |
入会 |
退会 |
会員数 |
個人会員 |
3,598 |
77 |
143 |
3,532 |
殉職会員 |
2,405 |
72 |
86 |
2,391 |
一般会員 |
1,193 |
5 |
57 |
1,141 |
法人会員 |
135 |
1 |
1 |
135 |
特別法人会員 |
13 |
0 |
0 |
13 |
合 計 |
3,746 |
78 |
144 |
3,680 |