事業報告書(令和4年度)

【事業概要】
 令和4年度の事業運営については、新型コロナウイルス感染症問題が一頃より落ち着いた状況を踏まえて、感染対策を施した上で3年ぶりに春の慰霊祭、夏まつりなど諸行事をコロナ禍以前に近い形で着実に実施することができた。
 産業殉職者合祀慰霊式は、5年ぶりに皇室から秋篠宮皇嗣同妃両殿下のご臨席の下、コロナ禍以前に近い形式で盛大に挙行され、奉賛会としても支援・協力した。
 事業計画書で予定した高尾みころも霊堂建立50周年記念事業については、記念植樹の実施、記念追悼文集の作成・配布、霊堂紹介のための記念ビデオの作成・配布など計画どおり実施することができた。
 収支状況については、年度当初は新型コロナウイルスの影響等が残り、会員減少、寄付者減少による大幅な収入減少等も懸念された。しかし、恒例の諸行事がコロナ禍以前に近い形で実施できたことで、寄付金収入は前年よりやや増加するとともに、会員減少も従前並みとなり、さらに資産運用収入増加も加わり収入面では比較的安定したものとなった。そのため、収支状況としては、霊堂建立50周年記念事業として大きな経費支出があったが、これらは予定されたもので、概ね計画どおりの収支結果となった。

【主要事業】

I.慰霊敬仰など奉賛活動の推進

  1. 慰霊敬仰事業
    (1)春の慰霊祭と夏まつり
     春の慰霊祭を5月14日(土)、夏まつりを8月6日(土)に実施した。
    春の慰霊祭は、祭祀堂広場において霊位の遷座行列、筝曲奉納、お供茶奉上、ご遺族の献花などにより御霊を慰霊した。新型コロナ感染対策で中止した遺族休憩所でのお茶会以外は、ほぼコロナ禍以前に近い形式で実施できた。
     夏まつりは、近隣の夏祭、花火大会等が軒並み中止の影響もあり、コロナ禍前に近い大勢の参加をいただき混乱も無く、大変好評を博した。
    (2)永代供養慰霊式の開催
     永代供養慰霊式は、コロナ禍の影響も無く、霊堂9階において第11回を9月、第12回を3月に、奉賛会役職員のほか、労働者健康安全機構等の協力を得て言葉奉上、献花、さらに各祭壇には供花等を捧げ、御霊を慰霊した。
    (3)産業殉職者合祀慰霊式への協力(主催:労働者健康安全機構)
     令和4年の合祀慰霊式は10月26日(水)、秋篠宮皇嗣同妃両殿下ご臨席の下、ご遺族、衆議院議長、厚生労働大臣(代理 厚生労働審議官)、各政党代表、労働団体・経済団体代表及び労働災害防止団体等多数の関係者がご参列され、新たに2,384名の御霊を霊堂に合祀奉安した。
     ご参列できなかったご遺族等のためインターネットによるライブ配信も行われた。
    (4)高尾みころも霊堂建立50周年記念事業の実施
     奉賛会は、霊堂建立50周年という節目を社会一般への広報・周知の契機と捉えて、かねてより計画していた次の事業を適切に実施した。これにより、霊堂の存在意義等について、広く周知し、産業災害の根絶に向けた気運の醸成に努めた。
    ⅰ 高尾みころも霊堂紹介ビデオ等の作成・配布
     高尾みころも霊堂紹介ビデオ及び産業殉職者ご遺族の想いを語られたビデオを作成し、奉賛会会員、関係者のみならず、日頃から職場の労働安全衛生に取り組んでおられる企業関係者等の皆様にも広く配布した。 霊堂紹介ビデオは、奉賛会ホームページにも掲載した。
    ⅱ 50周年記念追悼文集の作成・配布
     奉賛会会員のみならず広く一般を含めて、霊堂に寄せる自由な追悼文を募集の上、「霊堂建立50周年記念追悼文集~永遠の祈り~」として取りまとめ、関係者等に配布した。
    ⅲ 50周年記念植樹の実施
     5年毎に行っている記念植樹を50周年記念として、春の慰霊祭に併せて労働者健康安全機構を始め関係者ご出席の下実施した。
  2. 環境整備事業
    (1)花壇等への植栽
     霊苑内の花壇等に、年数回適時に分けて四季折々の花を植栽するなど、環境美化に努めた。
    (2)霊苑内の環境美化
     「故郷の森」、記念樹等の整備、剪定及び除草など環境の美化に努めた。
    (3)祭壇などへの供花
     祭壇などに生花を絶やさないよう随時供花を行った。

II.産業殉職者遺家族をはじめとする会員等に対する相談支援活動の強化

  1. 相談支援事業
    (1)相談事業
     新型コロナウイルス感染症問題等による霊堂閉鎖も無かったため、通常どおり祭祀等に関する相談を、当会職員が直接又は電話相談等により行った。
     また、合祀慰霊式においては、遺族相談窓口を設けて相談を行った。
    (2)会員サービス事業
     会員証の利用による宿泊割引制度の実施、無料給茶機の運営及び「霊堂四季の写真」の無料提供等を行った。
    (3)代理参拝支援事業
     会員の高齢化、遠隔地在住の会員のため、代理参拝(納骨壇の清掃、供花、参拝)支援を行った(供花料のみ実費)。
  2. 交流事業
    (1)行事、会報等を通じた交流推進
     「春の慰霊祭」、「夏まつり」及び「奉賛会会報」誌上等を通じて会員の交流を進めた。
    (2)「霊堂写真集」、「参拝交流ノート」の展示・供覧
     「霊堂写真集」及び「参拝交流ノート」の展示・供覧を配置して、参拝される遺族や会員のさらなる交流促進並びに安らぎと癒しの場の提供に努めた。
III.奉賛会の活動の充実強化
  1. 奉賛会活動の基盤の整備
    (1)新規会員の加入促進活動
     新規合祀奉安者の遺族を始め、納骨壇利用契約者、労働災害防止関係団体に対する加入要請を積極的に行った。
    (2)地域社会、関係団体との連携の強化
     春の慰霊祭、夏まつりを始め奉賛会の活動に関し、地域団体等の積極的な参加と協力の強化・推進に努めた。
  2. 広報・普及啓発活動の強化
    (1)広報媒体等を利用した広報活動の強化
     前述のとおり、霊堂建立50周年記念事業として、霊堂紹介ビデオ、記念追悼文集の作成・配布等により、奉賛会の活動などについて広報活動を行った。
     また、日本労働組合総連合の広報誌「月刊 連合」、労働者健康安全機構健保組合の季刊誌「健保だより」、「労働安全衛生広報」の記事、「労働新聞社」の記事など、非常に多くの関係広報誌、業界紙等に取材記事、広報紹介記事を掲載することができた。
     さらに、「奉賛会会報 霊堂建立50周年記念号 第56号」(12月に約7,000部)を情報内容の充実を図って発行した。
     なお、「奉賛会ニュース」を発行し6月の会費納入通知と併せて会員等に送付して、タイムリーな情報提供等による広報・普及啓発活動の強化にも努めた。
    (2)各種事業を通じた産業殉職者慰霊顕彰の重要性の普及啓発
     産業界の安全祈願祭、殉職者慰霊式の開催など、高尾みころも霊堂の利用について関係団体に働きかけた。
     なお、当奉賛会関係団体等の積極的なご協力もあり、高尾みころも霊堂への職員研修を兼ねた見学を積極的に実施することができた。見学結果等好評につき、今後も継続して見学実施することとなった。
    (3)新規合祀遺家族に対する奉賛会活動の周知
     令和4年度新規合祀奉安者の遺族に対し、「奉賛会会報第56号」や「霊堂建立50周年記念追悼文集~永遠の祈り~」等を送付し、合祀慰霊式の報告を行うとともに、奉賛会への加入要請を兼ねた活動紹介を行った。
  3. 産業災害の防止及び産業殉職者の顕彰に向けた機運の醸成
    (1)第10回産業殉職者霊堂協力連絡会議の開催
     労働災害防止団体、安全衛生団体等との第10回協力連絡会議を9月9日(金)学士会館にて開催し、各団体の労働災害等の事例紹介、傘下企業の高尾みころも霊堂利用奨励及び各団体の広報誌上での奉賛会の紹介等を含めて意見交換を行った。
    (2)講演事業
     慰霊の重要性、災害防止対策等の大切さ等についての講演事業の募集を行った。
     令和4年度は、前述「2.広報・普及啓発活動の強化」の(2)のとおり、下記4団体の職員研修を兼ねた霊堂見学を実施し、担当職員等による霊堂の存在意義及び奉賛会の役割等を含むレクチャーも行った。前述の霊堂紹介ビデオ等も活用した。
     労働者健康安全機構健康保険組合
     労働関係法人厚生年金基金
     公益財団法人産業医学振興財団
     一般財団法人労災サポートセンター

会員の状況

会員区分 令和3年度末会員数 令和4年度入退会 令和4年度末会員数
入会 退会 会員数
個人会員 3,532 70 138 3,464
 殉職会員 2,391 68 70 2,389
 一般会員 1,141 2 68 1,075
法人会員 135 0 6 129
特別法人会員 13 0 0 13
合  計 3,680 70 144 3,606